2017年3月1日

ドクター・ドクター

人間年を取ると自分の少年時代を振り返りたくなるもので(わたくしのようなおもちゃおじさんたちはやれガンダムだトランスフォーマーだと常に少年時代を振り返り続けていますが)、ふと子供の頃に読んだ漫画などを読み返してみたくなったりします。「子供の頃に夢中になった漫画を大人になって読み返してみたけど何かつまんね…」みたいな経験がある方も結構おられるのではないでしょうか。


で、最近こんな漫画を買ったのでした。「名作伝記コミック 野口英世」。アオシマのプラモデルや漫画で一部に有名な今道英治の作品。雑誌「小学三年生」(1986年1月号)付録の小冊子なのですが、わたくしが子供の頃にこの小冊子が教室の学級文庫に置いてあって、よく読んでいたのをふと思い出しまして。調べてみたらちょうどネットオークションに出品されていたので落札してみたという次第です。

今も昔も(超偉人を除く)偉人の人生にはとんと興味のないわたくしがなぜこんな漫画を愛読していたかというと、このシーンが読みたかったからです。


少年時代の野口英世が左手を火傷する有名なエピソード。ご覧の通り何とも痛ましいショッキングなシーンですが、えてして子供ってこういうの好きですからね。無邪気な残酷性とでも申しましょうか。こういった類のものを好む感覚は子供のうちに矯正しないと後が大変なのでは?と思われる親御さんもおられるかもしれませんが、(わたくしを含む)大抵の子供はそのまま成長しても精々ゾンビ映画にドハマリするとかその程度で収まるので、ぜひお子様をそのまま暖かく見守ってあげていただきたいと思います。と話が脱線しましたが、とにかく久しぶりにこのシーンを読んで「ああ懐かしいなあ」とひげをなぜたのでした。

そして大人になると、少年時代は普通にスルーしていた様々なツッコミ所に気がつくもので。たとえばここ。左手を火傷した息子を見てお母さんが悲しむシーン。


後に英世を名乗ることになる清作少年、火傷した左手はいいとして、何故寝床で木の板を吸っているのか。カマボコの板にしても大きいしなあ。この時代は子供が木の板を吸う習慣があったんでしょうか。ここも黒ベタの背景と相まって若干不穏な雰囲気。あとお母さん可愛い。


そしてこの作品を通読して気になったのが、英世の父親の存在。一応「佐代助」という名前は出てくるしバストアップも1コマだけあるんですが、そこ以外はだいたいこんな感じ。



登場する全てのコマで酒を飲むか寝ています。台詞も「うい~」だけ。英世が学者として海外で大成し、故郷に凱旋したシーンではとうとう描かれなくなっていたり、この父親の扱いの雑さはちょっと面白いと思いました。明治時代なんていかにも家長の権威が強そうだし、何かエピソードがあっても良さそうなのになあ。

漫画自体は野口英世がアフリカに渡ってさあこれから、と盛り上がったところで黄熱病に感染して客死してしまい、何となく消化不良感の漂う幕切れとなっています。まあ伝記物って大体どれもこんな感じの終わり方のような気がしますが。久しぶりに少年時代を振り返って楽しかったので、これはこれでヨシとしましょう。

次は同じく少年時代に読んだ桑原京介の「蝉を食べた少年」でも…と思いましたが、あれに関しては当時深刻なトラウマを与えられたせいで正直未だに読む気がしないので、何か別のものを探すとします。うぐぐ。